
昔見た雑誌で、地方でお店をやっているシェフの方が話していたこと。
「地方は評価ではなく、贔屓(ひいき)です」
その時は「へーそうか、贔屓かあ」と思ったくらいだったのですが、何となく気になるフレーズ。いつまでも覚えていました。
ごひいき、いい文化です。お店を立てる。応援する。
実際に地方でお店をやっていると、そういうのを直に感じることも多々あります。
開店直後のお客さん少ない時期に、近所のおじさんが三日続けてカレー食べに来てくれたこともありました。沁みました。。
実際に肌でありがたみを感じる一方、「ひいき」と「妥協」がごちゃ混ぜになってない?と感じる部分もあります。「妥協」というか、甘えのようなものでしょうか。
気持ちをしゃんとする意味も込めて、この辺でしっかり考えてみました。
贔屓の根元にあるのは、相手に対する信頼であったり、敬意であるはずです。
お店がどういうことを大切にしているのか、理解しようとしてくれるお客さんがいます。
応援する意味で、実際に行って、お金を落とす。誰かを紹介したりもする。
お店側もそのご厚意を感じているから、そのお客さんに応えられるよう頑張る。
考えてみれば、音楽をやる人とファンの関係に近いのかもしれません。良いライブは演者とお客さん、双方によって作り上げられるもの。
「評価」は一方的だけど、「贔屓」は双方向で、どこか温かいイメージ。つまりお店側とお客さん側、どちらも信頼ありきの関係です。「持ちつ持たれつ」、よく聞く言葉ですが、簡単なようで難しいですね。。
お金を沢山落としてくれるお客さんが「いいお客さん」なわけでもないし、何でも融通利いてくれるお店が「いいお店」なわけでもない。
お店とお客さん、「いち個人」同士の関係の先に、面白いものがある気がします。
内側を向いてキャッキャして、もたれ合ってる様な関係は面白くありません。
やっぱり大事なのは、「お店側がまずは個性をしっかり見せる」ということなんでしょう。
お店をするということは、表現をすることなんだと自覚すること。
売れ線狙ってばっかの音楽は、ダサいですもんねえ。